現代詩ゼミの報告
              福田誠


 高崎市でも最高気温が夏日となった四月十六日(日)、高崎現代詩の会の総会と現代詩ゼミが高崎中央公民館で開催されました。その概要を報告します。
 講師は樋口武二さん。演題は『グズグズと詩のことなど、』。参加者は、会員十四名、会員外四名の計十八名でした。詩に関する講演の主旨を、参加しなかった人に報告するのは難しいことであります。講師と参加者で共有した価値観や、臨場感を説明するのは並大抵のことではありません。そこで先ず、樋口さんのレジメの項目を紹介します。『①雑誌を発行するということはどういうことなのか、② いまの時代にあって〈モノを書く〉という行為は何を意味するか③どのように時代と向き合うのか④私というものは、いったい何者なのか⑤作品には〈物語性〉が求められている 付録:散文で詩を書くということは』となります。どうですか、少しは伝わりましたでしょうか?

 次に小生のメモの一節を紹介します。全体を説明するものではなく、講師の話し言葉の一部分をメモとして切り取ったものです。
 『詩という弁当箱に何を入れようか、となる。入れ物さえない中で詩を書いて行かないといけない。言葉を泳がす。こういうものが詩、詩はこうであると定義すると、言葉が不自由となる。決まった器に詰め込むのではなく、言葉を解き放つ。日常の中の「私」から構築するのが一番「楽」なのだが、本来の「私」とは遠い位置になってしまう。本来の自分を意識の下に押し隠し、本来の「私」に巡り会うための旅が「詩を書くということ」。感性。
新しく自分の中から生まれる「私」。自己探求すると引き返せなくなってしまう。日常とどう折り合いをつけるか。』どうですか、少しは伝わりましたでしょうか?混乱が深まってしまいましたか?
 自分自身をストイックに掘り下げないと詩は書けない、詩人は自身と向き合うための旅をしているのだ、ということを再認識した日でした。
 残りの紙面では現代詩ゼミの歴史について記します。 一九九四年四月梁瀬和男氏を講師に招いてから今回で25
回目のゼミとなりました。ゼミの講師はぜんぶで二十一名(四名の方が三度)。梁瀬氏以降の講師名を敬称略で順に記します。真下章、大橋政人、久保田穣、梁瀬和男②、宮崎清、真下章②、小山和郎、川島完、曽根ヨシ、富沢智、石山幸弘、大橋政人②、野口武久、久保田穣②、佐藤正子、新延拳、岡田芳保、本郷武夫、田口三船、大塚史朗、愛敬浩一、真下宏子、國峰照子(氏名の次の②は三度目の方です)。鬼籍となられた方もあり、つくづく歴史を感じます。

(会報301号より)

 

現代詩ゼミのご案内

 

日時 平成29年4月16日(日)午後2時40分〜4時20分

場所 高崎中央公民館
     高崎市末広町27
     ℡027-322ー5071
講師 樋口武二氏

   「詩的現代 第二次」発行人、「Essence」編集・発行人、群馬詩人クラブ会員
演題 「グズグズと詩のことなど、」

 

*ココスで懇親会

 ゼミ終了後に、講師を囲んでお茶会を。

 

お問合せ/会長・志村喜代子 ℡027-352ー9745

      

高崎現代詩の会では、2時から総会が開かれ、総会終了後に現代詩ゼミを開催いたします。
会員外の方も参加できます。

皆様、どうぞいらしてください。

 

以下は昨年以前の情報です。

 

あまりにも私的な現代詩ゼミ報告   神保武子


 高崎現代詩の会が毎年開催している現代詩ゼミは、1994年に第一回を開催してから今年で二十四回になると聞きました。これが「詩」という磁場で活動をはじめてから、ゼミのほか会誌の発行、朗読会の開催など多彩な活動を続けていることを知って、会員と運営スタッフの努力に賞賛の拍手を送りたいと思います。
 今年の現代詩ゼミは、4月17日・高崎中央公民館で講師に國峰照子さんを迎えて「自作詩を語る」をテーマに開催されました。
 最近、詩集「ドン。キホーテ異聞」、評論「『二十歳のエチュード』の光と影のもとに――橋本一明をめぐって」、思潮社現代詩文庫「國峰照子詩集」と國峰さんの著書に触れて、緻密に計算されたコトバたち、多彩なイメージ、コトバと言葉のあいだを軽やかに跳びまわる國峰ワールドにすっかり魅せられていました。白石かずこ氏が《イマジネーションのゴージャスなこと、その飛躍とコトバ遊びの妙なる曲芸。》と評したその秘密に少しでも迫りたい、決してぶれない詩に対する考えをお聞きしたいと、わくわくしながら参加しました。当日会場の駐車場が満杯で遅刻するというアクシデントにあい講演は既に始まっていました。
 参加者は会員外の方もいて二十人位、國峰さんを囲んで程よい集まりでした。講演は予め用意されたテーマ(質問)にそって、
 ・詩とは
 ・詩の音楽性
 ・詩の批評性
 ・影響を受けた詩
という具合に話が進みました。
 國峰さんは作曲をする、演奏をする、木彫もすると多才な人ですが、それが詩を書くとお互いがどのように影響しあっているか興味がありお聞きしたいと思っていました。
◆詩を料理に例えると、ことばという素材をどのように調理して盛り付けるか、味付けや器も大事ですが、食欲がなければ美味しく食べられない、食欲になるのが楽しいと好奇心です。
◆音楽でいう三つのW 『Wh at ・H ow ・Why』= 『何を・どう書くか・何故書きたかったのか』は詩の場合でも同じで、同人の批評などでそのことを確認できます。
◆文学館などで詩人の生原稿をみると、その人格がみえてきます。私は自分の字に恥じらいがあるので、自分の作品を客観的にみることができるのは活字になったときです。
 以上私なりに印象に残ったコトバを紹介してみました。会は國峰さんのお人柄を映して終始真面目で楽しい集まりでした。

(会報297号より)

 


現代詩ゼミのご案内

 

日時 平成28年4月17日(日)午後2時40分〜4時20分

場所 高崎中央公民館
     高崎市末広町27
     ℡027-322ー5071
講師 國峰照子さん
演題 「自作を語る」

 

高崎現代詩の会では、2時から総会が開かれ、総会終了後に現代詩ゼミを開催いたします。
会員外の方も参加できます。

皆様、どうぞいらしてください。

 

高崎現代詩の会 現代詩ゼミ
 講師 真下宏子さん4月19日(日)
     「大手拓次の人と作品」
                        原田 鰐


 高崎現代詩の会では、新年度総会終了後、恒例の現代詩ゼミを開催しました。今年は安中市の大手拓次研究会代表の真下宏子さんに、拓次についてお話を伺いました。
 真下さんはもともと前橋の出身ですが、嫁いで安中市民となり、後に、郷土の詩人である大手拓次に興味を引かれ、以来、郷土の文化遺産として彼とその作品の研究に傾倒して来られました。研究会は安中を拠点としてすでに十六年にわたる活動の歴史があります。日本の象徴詩の楚としての拓次とその作品の真の魅力をもっと知ってもらい、さらに現代詩における拓次の功績と作品の価値を改めて評価することに貢献して来ました。
 日本の象徴詩人の少年時代は、やはり、臆病でわがまま、内向的なものでした。そこに、己の過剰な繊細さに手を焼く非凡な才能の少年の姿が見えます。拓次は磯部の温泉旅館で成功した一族の、経済的には恵まれた家庭で育ちましたが、一方で家庭環境は、少年時代の早い父母との死別、その後、その寂しさの中で祖父母の愛を一身に受けて暮らすというものでした。愛情の複雑な交錯とその内向的資質が拓次の鋭敏な感性と才能をさらに磨き上げてゆくことになったようです。当初は自然主義の影響を受けていましたが、その後のフランス象徴詩への傾倒は早稲田大学在学中のころから始まり、ボードレールなどの訳詩に没頭したり、「藍色の蟇」などの象徴詩を試みるようになりました。
 拓次は生涯で約二千四百編の詩を残し一九三四年(昭和九年)四十六歳でこの世を去りました。真下さんが今回テキストとして用意してくださいました「藍色の蟇」などの作品を改めて読むと、その時代の中でもひときわ個性あふれる斬新な表現を感じとることができました。それは自然に、「大手拓次はなぜもっと日本の詩壇の表に出て来なかったのか?」という素朴な疑間に行き着くのです。北原白秋の主要な門下生の一人であり、朔太郎・犀星らの一流の詩人からも強い関心を寄せられながら。さらに、二千四百編もの詩を残しながら、生前には一冊の詩集をも刊行し
なかった、それはなぜ?
 当然ながら最後は受講者の興味もそこに集まりました。でも、それはいろいろ解釈が成り立つでしょうが、真下さんによれば、「しょせん推測の域を出ないのです。」
 最後にまったくの余談です。


 薔薇ノ木二 薔薇ノ花咲ク ナニゴトノ不思議ナケレド


 私はこれが「薔薇の詩人」拓次の作と数十年間信じていました。北原白秋だったのですね。改めて注意深く読むと、やっぱり拓次とは異質の感性を感じられるようです。

(会報292号より)


現代詩ゼミのご案内


日時 平成27年4月19日(日)午後2時40分〜4時20分

場所 高崎中央公民館
     高崎市末広町27
     ℡027-322ー5071
講師 真下宏子さん
    大手拓次研究会代表
    群馬詩人クラブ会員
演題 「大手拓次の人と作品」


高崎現代詩の会では、2時から総会が開かれ、総会終了後に現代詩ゼミを開催いたします。
会員外の方も参加できます。

皆様、どうぞいらしてください。


現代詩ゼミのご案内


高崎現代詩の会では、2時から総会が開かれ、
総会終了後に現代詩ゼミを開催いたします。
会員外の方も参加できます。
皆様、どうぞいらしてください。

 

現代詩ゼミ
日 時 平成26年4月20日(日)午後2時40分〜4時20分
場 所 高崎中央公民館
     高崎市末広町27
     ℡027-322ー5071
講 師 愛敬浩一さん
演 題 「贋・詩的自叙伝」

 

【愛敬浩一さん】 1952年生まれ
樋口武二さんと共に「詩的現代」の編集・発行
詩集に『危草』『クーラー』『夏が過ぎるまで』他
評論集に『詩を噛む』『影と飛沫』『岡田刀水士と

清水房之丞 - 群馬の近・現代詩研究』他
伊勢崎市在住。