個人詩誌『S U K A N P O 』のこと    田口三舩

 

 ぼんやりとではあるが、ずっと前から頭の中で描いていた個人詩誌『SUKANPO』がようやく誕生したのが、二〇〇八年八月。その「あとがき」にこう書いた。
「詩を書き始めて半世紀もとうに過ぎ、その間詩作から離れていた十数年を除いて、ほとんど何らかの形で同人誌等に所属して作品を発表してきました。ところでそうした活動を続けながらも、時には全く独りになって気ままに作品を発表する、そんな場を持ってもまた楽しいのではないかという思いをいつの頃からか持つようになりました」
 そこではまたこうも書いた。
「発表するということは、多くの人たちに読んでいただくことを前提とします。見かけもご覧のとおり、中身もとぼしいこの詩誌が、私の思いをどこまで叶えてくれるか全く見もつきませんが、しかし動き出さないことには始まらない、そんな気持ちに急かされて『SUKANPO』第一号を送り出すはこびとなりました」
 当初から、印刷はもちろん製本発送を含めて全て自分自身の手で行おうと考え、そこで先のことをおもんばかってあまり負担にならないようにと落ち着いたのが、A5版一段組の八頁。
 誌名となった『スカンポ』はタデ科の多年草で、別の呼び名を「酸葉(スイバ)という。野原や川原の土手などに自生する多年草で、淡緑色の小花は特に人目をひく程の派手さはないが、図鑑や辞典などによると、若い茎や葉は食用になると書いてある。
 ところで、この『SUKANPO』は、いわゆる独自の主義。主張を掲げているわけではない。どこかに『SUKANPO』らしいものを感じとっていただければ、それに勝る喜びはない。既刊二十二号。己の命と同じで期限は設けられないが、これからも出したい時出せる時を目安に、気楽な独り旅の気分で続けていきたいと思っている。

(会報300号より)