詩誌「杏」のこと

              小野啓子

 

 私が参加していた「沼田文学」と「ビオレータ」が終刊となり、しばらくして沼田文学でご一緒したことのある方が、手作りの詩集を送ってくれました。その後、今度は同じ地区に住む同級生が、御主人が作ったという詩集を送ってくれました。どの会にも参加せず、個々で活動していることに心動かされ、三人で集まり話をしませんかと声を掛けました。
 初めての会合は三年前の二〇一四年三月でした。また次もという言葉で、毎月一回勉強会という形で集まることになりました。
 まず大切なのはインプット。私の参加している会誌「夜明け」の詩や評論。県内の方々から頂いた詩誌や、個人で発行している会報等を参考にさせて頂き、皆で読み合い沢山の良い作品に触れさせて頂きました。
 その後、会員の方が友人を誘い四名になりました。
 会合場所は行きつけのお蕎麦屋さん。お店の人の理解とご協力で気兼ねなく話ができます。私の仕事が忙しくなる十月。十一月を除き、一年間勉強会を重ねました。
 会員は、六十・七十代ですが、もっと勉強したい、今よりも良いものを書きたいという意欲に溢れています。自分自身も視野を広げ成長したいという思いで意見を交わし合い、書き直しているうちに詩誌にまとめたいという自然の成り行きで「杏」が誕生しました。
 皆の事情を汲み、一年に一度の発刊というスタイルを取り、今三号へと向かっています。
 皆遠くには行けないけれど、この沼田なら月一回でも集まることが出来るし、楽しいのでこれからも続けたい。そんな仲間の声に励まされています。
 少人数の会ですが、大きな災害や事件。事故による人の苦しみ悲しみに心を寄せたり、自分の身近で起こること、動植物にも目を向けていきたいし、同じテーマで書いてみるのも面白く、色々なことに挑戦していきたいと考えています。

(会報301号より)